こんな時だから知っておきたい「電力需要の負荷平準化」

前回の記事に続いて再び知ったかぶり解説を。(^^;)

電力需要は月によっても大きく変動します。

前回の記事の中で電力需要の時間帯別のグラフをご紹介しました。

で、今回は、年間の月毎の電力需要のグラフをご紹介します。

上記のグラフをご覧になると分かるとおり、実は今のシーズンは年間を通して比較的電力需要が少ないシーズンです。

季節や時間によって非常に大きく変動する電力需要

このように電力需要は季節や時間帯によって大きく変動します。
ところが、電気は多くの生産物とは違い、貯めることが困難で、生産と消費が同時に行われます。

そのため、発電設備は需要が最も多い瞬間にあわせて建設される必要があります。

ですから、発電プラントの年間稼働率負荷率(2011/4/9訂正)はわずか60%前後と、非常に低いレベルで低迷しています。
(一般的な工場のラインでは経営に支障が出るレベルであると聞いたことがあります。)

発電所は急には止まれない。

ご存じの方も多いと思いますが、原子力発電所や火力発電所は、膨大な量の蒸気を作ってその蒸気でタービン発電機を回しています。

この時に使用される蒸気温度は、原子力発電所で約280度、火力発電所では600度にもなる非常に高温の蒸気です。

原子力発電所のほうが蒸気温度が低いのは、燃料棒に使用されるジルコニウムが高温に弱い一方で生産できる蒸気量が膨大に多いため直径が大きな発電機を回せるからです。一方で火力発電所は圧力を極限(超臨界圧)まで上げることでタービン発電機の回転数を高くし熱効率を向上しています。

そのため、タービンを急に止めてしまうと、タービン内の蒸気の温度差により、タービンローターは変形してしまいます。

また、原子炉やボイラも同じく温度差によって影響をうけるので、やはり急にはとまれません。(これについては今では日本中の人がご存知ですね)

(蒸気タービンのローター。超巨大かざぐるまとご理解下さい。)

そのため、昼夜で電力需要が変わっても、発電所自体は運転を続けてるという、もったいない事態に陥っています。

注)現実には火力発電所や水力発電所などが負荷追従に使用され、原子力は電気を作りっぱなしです。

ここまでのポイント

電力についてみなさんが理解するべきポイントは以下のとおりです。

  • 電力需要は季節によって大きく変動する。
  • 電力需要は時間帯によっても大きく変動する。
  • 発電所は年間を通じて最も需要が多い瞬間に合わせて建設されているため、年間の稼働率は非常に低い。
  • 原子力発電所や火力発電所は一度起動すると需要がなくても簡単には止まれない。

電力需要の負荷平準化

これらの問題を解決するため政府や電力会社は、電力需要をなるべく常に一定水準でキープできるよう様々な取り組みを行って来ました。

これが、電力需要の負荷平準化というやつです。

たとえば。

  • エネファーム、エコアイスなど夜間電力を使用して昼間の消費電力に備えるソリューションの販売。
  • 深夜電力で水を汲み上げて、その水を昼間にダムから流して発電する「揚水発電所」の建設
  • 深夜電力の料金面での優遇

などなど。

http://www.fepc.or.jp/present/jigyou/juyou/index.html

早急に私たちに求められること

冒頭のグラフを見るとわかるとおり、電力需要は夏場に向けて劇的に上昇します。
また、多くの企業が活動を再開することにより、昼間の電力需要はますます上昇していくことが予測されます。

今後は多くの火力発電所が運転を再開するため、現在のような混乱は長くは続かないと思われますが、電力需要をなるべく均一にすることは、現在の課題を解決する大きな鍵であることは間違いないと思います。
(3/22追記: 火力が復旧が夏季ピークに間に合わないと報道され始めましたので、しばらく混乱が続きそうです。)

なので!

  • 昼間はひたすら節電しましょう。
  • 夜でもできる充電は夜にしましょう。
  • お金もちは、いますぐエネファームを買いに行きましょう。

と、やはり前回と同じ結論になります。

つまりですね、実は現在抱えている問題は、もともと内在していた問題が地震をトリガーにして顕在化しただけなのです。

しかも、これは原子力発電に反対する人も賛成する人も、共通で取り組むめる課題でゴールも同じなんですよ!

(おまけ)電力需要とGDP

過去のデータではエネルギー消費とGDPは、お互いにリンクし合いながら増減しています。

そして、エネルギー消費の40%以上は電力です。

私自身被災者ではありませんので、被災地に対して申し訳ない気持ちはもちろんあります。

しかし、やはり夜のネオンサインや各種のイベント等を不謹慎だという一言で片付けてしまうと、経済が停滞してしまい復興の足を引っ張ることになりかねないのが現実なのです。

ですから、普段以上に飲み歩けとは言いません。しかし飲み歩くなとは言ってはいけないんです。

今日のまとめ

  1. 原発賛成派も反対派も協力しあって電力需要の負荷平準化に協力しましょう。
  2. いままで通り夜の街に繰り出しましょう。
  3. 一日も早く経済を復興させて、被災地を支援しましょう。

業界を離れて長いので間違いや勘違いがあるかもしれません。優しく教えてくださると幸いです。

あと、これ系のネタについてはもう書きませんです。本業にもどって稼ぎますので、これ系のネタを期待してRSSリーダーに登録するとひどい目にあうと思います。(^^;)